お薦めの知財活動
先日、中小企業の知財担当の方から、社内で行った方がいい知財活動はありますか?という質問を受けました。
そこで、今回は、当職が有用だと思う知財活動を1つ紹介します。
ちなみに、当職が最初に就職した会社は、一部上場企業ではあったものの、従業員が単体で約400名、年間の特許出願件数が10件程度と、それほど大きくない機械・プラントメーカでした(当職の詳しい経歴はこちら⇒弁理士紹介)。
その会社の知財部に在籍していたときに行っていた活動を紹介します。
なお、知財部の人員は、私および嘱託社員1名の2名体制でした(分かりやすくするために知財「部」という名称を使いましたが、実際には「部」でも「課」でもなく、その下の知財「室」という名称でした)。
その活動というのは、
月に1回、ライバル企業・ライバル製品の公開公報・特許公報を検索し、それらの公報を要約して、関係部署に回覧する
というものです。
この活動は、開発部門や営業部門から、ライバルメーカの動向を知ることができる、製品を開発する際のヒントになる、侵害を回避できる、等々の意見が出て、好評でした。
多くの場合、自社が中小企業であれば、ライバル企業も中小企業であることが多く、ヒットする公報も多くないため、月に1回であれば、現在の業務と平行して行えるのではないかと思います。
なお、当時はざっと公報を読んで、人力で要点をまとめていましたが、今であれば、ChatGPTなどの生成AIを使えば、かなり労力が抑えられると思います。
ポイントとしては、
・要点をできる限り短くまとめる
・図面がある場合には図面を多く付ける
ということです。
公報をそのまま印刷して回覧することはお薦めしません。なぜなら、公報そのままでは、読んでもらえないからです。
当時、開発部門の担当者から言われたことなのですが、特許文書は読みづらいから読む気がしないし、できることなら読みたくない、でも図面を見れば、なんとなくどんな技術か分かる。だから、図面を多く載せてほしい。
おそらく、開発や営業の担当者の中には、このように思われている方は少なくないと思います。
ですので、要点や図面で担当者の興味を引きつけ、興味を持った公報を全文読んでもらうようにするのがいいかと思います。
ちなみに、当職は、構造物の出願書類を作成する際に図面を多く入れますが(いろいろな方向から見た図面など)、その理由の1つは、このときの担当者の言葉が頭にあるからです。